全てを思い出した鈴菜は、両手で顔を覆った。

既に能は終わり、観客がぞろぞろと退場していく。

鈴菜は思い出した記憶を切なさとともに噛みしめていた。


――――辛い記憶。

破れた初恋。

きっと思い出さなかったのは、思い出したくないと思っていたからなのだろう。

鈴菜は嗚咽し、肩を震わせた。


あの頃……

自分は神社に行くのを、彼に会えるのをとても楽しみにしていた。

遠い昔の輝いていた日々。

彼に会えると思うだけで心が弾んだ。

幼心に彼の傍にずっといたいと思っていた。

けれど、あの日……。


「……っ、ぅうっ……」




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