誘惑のクラン（血族）

困惑

「動物……」


あの声は動物なんかじゃない。


もしかしたらヴァンパイアなのかもしれない。


数日前にヴァンパイアが人間を襲う事件があったって言っていたし……。


優真さんは怖がらせないように言ってくれているけれど……。


外で起こっていることを想像して、背筋に冷たいものが走り璃子は身体を震わせた。


「璃子ちゃん？」


「え？　は、はいっ」


璃子は顔を上げて優真を見る。


「食べよう」


「はい」


璃子はもう一度座りなおすと、食べ始めた。