Your Voice -同じ青空の下で-

呼び起こされる才能



楓香side

ぼやけた視界がだんだんとはっきりしてくる。着ていた服は汗でぐっしょり濡れていた。


「あ!!起きた!!楓香大丈夫?」


遥くんが今にも泣きそうな顔で私を見つめている。


「えっ、あ、うん。大丈夫だから心配しないで?」


「僕、愁達呼んでくる!!」


そう言って、遥くんは部屋を出て行っちゃった。


1人になった部屋で私は、窓から見える空を眺めていた。


「“歌うことを恐るな”か───」


夢の中で恭は確かにそう言っていた。


本当に私は歌っていいの?


本当に恭はそれを望んでいるの?


あの夢は何を意味しているのだろうか…?
< 41 / 89 >

この作品をシェア

pagetop