密フェチ†眠れる恋の…

眠っているのは、若くしてこの事務所を立ち上げた有能な弁護士。


所長で---代表弁護士で---私の上司。



私は足音を忍ばせてそっと近寄り、ソファーの前に跪いた。


長い足を投げ出し横たわるソファーの背には、脱ぎ捨てられたスーツのジャケットとネクタイ。

ローテーブルには、案件のファイルと書類の山。



…一晩中ここで仕事をしていたんだろうか?


シャープで男らしい横顔。

いつもはきちんとセットされている髪が、乱れて額にかかっている。

ボタンを外したカッターシャツから覗く、静かに上下する胸。



仕事では微塵の隙も見せない人が、目の前で無防備な姿を見せている。

初めて見るその姿に、最近悩まされている胸のモヤモヤがいっそう強くなった気がした。



『触れてみたい…』



突然込み上げてきた衝動に、目が眩む。


私は覆いかぶさるように、所長の顔を覗き込む。

鼻先が触れ合う寸前、我に返った。


…何をしようとしているの、私…---


呆然としていると---


「ん、っ!!」

いきなり後頭部を掴まれて、目の前の唇と唇が重なる。


焦って身を捩ると、唇が離れた。

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