倉井さんは今どきの人には珍しく独特な考えの人で、将来の結婚相手じゃないと身体の関係を持ちたくないと言っていた。


それなのに私が無理矢理押し倒してあんなことになり……これには申し訳ないの一言に尽きる。

向こうにしてみたら私との一夜は不本意だったのではないかと。
好きでもない私とこのまま付き合っていてもいいのだろうか……。


夏、花火大会で倉井さんと手を繋ぎ、柄にもなくドキドキした。
まるで初めて恋を知った少女のように。

人混みではぐれないようにと遠慮がちに私の手を握ってきた倉井さん。
耳まで真っ赤に染まった顔に愛しさが込み上げた。


もし、この先、倉井さんに好きな人が出来た場合はどうすればいいんだろう。
その時は、私が身を引かないといけないんだよね。


自分が倉井さんに好意を抱いてると自覚してからこんなことばかり考える。


本当のところ、私はどう思われてるんだろう。
食事に誘ってくれたりするから嫌われてはいないと思うんだけど。

聞きたいけど怖くて聞けない。





エレベーターホールにつき、矢印のボタンを押し小さくため息をついた。