近ちゃんの言葉にギョッとして振り返ると、少し離れたところからこちらを見ている倉井さんの姿に一瞬、心臓が止まるかと思った。

私と目が合うと、バツが悪そうに眉尻を下げる。


「健とのやり取りを見たのか、俺がくぅを引っ張って歩き出してたのを見て気になって追いかけてきたんだろ」


嘘でしょ、まさか見られていたなんて……。

話も聞いてたのかな。
いや、でも少し距離があるから全部が全部聞こえていた訳ではないよね。

てか、近ちゃんいつから気付いてたの?
そんな素振り全くなかったんですけど!

ホント怖いわ。


「ほら、すげぇ不安そうな顔してる。たぶん、中途半端に話も聞こえてると思うし、早く話して安心させてやった方がいいんじゃないのか?」

近ちゃんの言葉にコクコクと何度も頷く。


「俺、いない方がいいと思うから帰るわ。いろいろ見られてんだ。健のこともお前が不安に思ってることがあることも全部話しろよ。んで、俺には今度ちゃんと紹介すること。じゃあな」


近ちゃんは倉井さんに向かって頭を下げ、『頑張れよ』と私に声をかけ帰って行った。