僕らはみんな、生きている。
1 いつもどおりが壊れていく
「お待たせいたしましたー、ごゆっくりどうぞ」
 
 言い慣れた口調でそう言うと、新田 麻美はテーブルの上に和風たらこスパゲティを置いた。
 
 三十歳前後の母親らしき女性が二人。彼女たちの横にはそれぞれ自分の子供がいる。幼稚園の制服を着た男の子と、女の子が一人ずつ。

 男の子は落ち着きが無く、麻美はそのテーブルから離れると、ちゃんとしつけしてないなぁ、と心の中でつぶやいた。



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