ラフィット殿下は結衣を見据えて嘲笑を浮かべると、小馬鹿にしたようにあごを突き出した。


「レフォール、叔父の私にまともな挨拶もできんのか。毎日フラフラと遊び呆けておると聞いたが、帝王学どころか礼儀作法も疎かになっているようだな」


(やっぱり、バカ王子?)


 ラフィット殿下の辛辣なイヤミに結衣の愛想笑いは徐々に苦笑へと変わる。

 ラクロット氏に王子の事を聞くのは王に挨拶した後の予定だった。
 王子の事を何も知らないので、どう反応していいかわからない。

 しゃべるなと言われたがどうすればいいのか、問いかけるようにロイドを見つめると彼が代わりに口を開いた。


「僭越ながら、レフォール殿下は先日風邪をこじらせて、喉を痛めておいでです。侍医から声を出さぬよう言われておりますので、平にご容赦願います」


 ロイドがそう言うと、ラフィット殿下は鼻で笑い、
「そういう事情なら仕方ない。——という事にしておくか」

と言って、二人の前を立ち去った。


 ラフィット殿下の姿が廊下の角を曲がって見えなくなると、結衣はそちらに向かって舌を出した。

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