ふと、人の気配を感じて結衣は目を覚ました。
 しかし、怖くて目を開けられずにいた。
 ボソボソと男の声がしたのだ。


 辺りはまだ明るい。
 昼間から泥棒? それとも痴漢?

 玄関の鍵が開いていたのだろうか?
 昼間にベランダや窓からは侵入しないだろう。

 相手の目的がよくわからないので、様子を探ろうと少し目を開けて驚いた。

 至近距離でメガネをかけた見知らぬ男が顔を覗き込んでいたのだ。

 慌てて目を閉じる。

 蜂蜜色の髪に濃い緑の瞳だった。
 なんか外国人っぽい。


「殿下ではないようだが……。それにしてもよく似ている。……って、おい! さっき目を開けただろう」
 そう言って男は結衣の額をペチッと叩いた。


「……いった……」


 額を押さえて横向きに転げた結衣は、横柄な不法侵入者に怒りがこみ上げてきて飛び起きざまに怒鳴りつけた。


「あなた誰?! ひとの部屋で何やってんのよ、変態!」


 男はひるむことなくメガネの奥から冷ややかな目で結衣を見つめると、もう一度額を叩いた。


「ねぼけるな。どこがおまえの部屋だって? よく見ろ」

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