砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
一の六
 翌朝

まだ、毬が目覚めぬことを確認した龍星は、夕べ遅くまで一緒に飲んだ雅之と共に御所に向かった。

 昨日の今日なこともあり、約束も取り付けていないというのに、帝に簡単にお目通り出来た。
 挨拶もそこそこに本題に入る。

「本日は、御台様、左大臣様にもご同席していただきたく存じます」

 帝がお付のものに告げ、しばらくすると御簾越しに千が現れた。

 龍星が丁寧に挨拶をしようとすると

「そのようなものは無用です。

 帝、恐れながら今日は龍星と二人きりで話がしたいのです。

 お許しいただけますか?」

 と、毬そっくりな声で言った。

「千がそこまで申すなら、私は構わぬ」

「しかし、左大臣家まで足をお運びいただかねばなりませんが」

 龍星が遠慮がちに、しかしきっぱりと言った。

「それも私と龍星だけで良いでしょう」

 千の返事には淀みがない。


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