もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
第1章 紫色の夏

朝は戦い

「だから、早く閉めてって言ってる……、ん?」


こじ開けた目に、朝の光が飛び込んできた。


ピピッ、ピピピ、ピピッ、ピピピ……。


頭の上では、最大音量にセットした携帯のアラーム音鳴り響いている。


「優衣? そろそろ起きないと遅刻するわよ」


出窓のカーテンに手を掛けている母親。


優衣は、その腕を掴んで大汗を掻いている。


布団は放り出され、ベッドは乱れ放題。


「あれ、大谷は?」


「大谷君?」


掴まれた自分の腕と優衣を交互に見つめ、首を傾げる母親。


「あっ、やっぱり夢!? だよねっ、そんなのありえないよ」


慌ててその腕を離し、床に落ちている掛け布団を拾った。


「さぁ、早く支度しないと! 今日は当番の日でしょ」


切り替えの早い母親が、スリッパの音を立てて慌しく部屋を出ていく。


「あっ、そうだった」


そのあとに続き、優衣もドタバタと階段を下りていく。
< 11 / 358 >

この作品をシェア

pagetop