週末の薬指
結局、シュンペーの気持ちを軽くさせてあげるなんてできないまま、ランチを終えた。

彼女との事を考えて落ち込むシュンペーと、今日ここに呼ばれた理由に気持ちが盛り上がらない私。

弥生ちゃんと夏弥を、そんな切ない空気の中に巻き込んでしまって申し訳ない思いはあったけれど、どうしようもなく気持ちはへこみっぱなし。

きっと、午前中の会議前に悠介から棘のある言葉を投げられたことも一因だろう。

「じゃ、私達は先に戻ってるから、花緒も遅れないようにね」

お店を出て、弥生ちゃんはシュンペーの背中を押しながら会社へと戻った。

お昼休みが終わるまで、まだ少し時間があるから気を利かせてくれたのかな。

「ごちそうさま。結局全員の分をおごってもらって、ごめんなさい」

「いや、それはいいけど。彼、相当へこんでるな」

「うん。普段明るくて癒し系だから、あんなに落ちこんでる姿にはびっくりしたな……。でも、それもそうだよね」

自分の子供を認知すらさせてもらえない状況って、一体どんな気持ちだろう。

私には想像もできないけど。

私なんて、せめて戸籍上だけでも、認知だけでも、父親からしてもらいたかったのに。

私が歩んできたこれまでの日々を、シュンペーの彼女に伝えたら、状況は変わるのかな。

きっと、シュンペーとの結婚を前向きに考えてくれるはずだと……。

それくらい、私は寂しくて悲しい思いを抱えて生きてきたんだから。

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