夏弥は、しばらく私を抱きしめたまま唇を私の首筋に押し付けていた。

私の体温を感じて安心しているような、柔らかな仕草を感じているうちに私もその体をぎゅっと抱き返す。

きっと、今こうして何も答えてくれないのが答え。

夏弥にも傷ついたことが過去にあったに違いない。

「言いたくなかったら、言わなくてもいいよ。でも、私は夏弥の事を傷つけない……ように頑張る。
今回夏弥の気持ちを不安にさせたばかりで強気な事は言えないけどね」

くすりと笑うと、夏弥の唇が離れていった。

なんだか首筋が不安定になった気がする。

夏弥は、私の体をそっと離して私の顔を覗き込んだ。

その瞳は思っていたような不安げで切ないものではなくてどこか余裕に満ちている優しいものだった。

それが、私の気持ちを落ち着かせていく。なんて単純。

「蓮の言葉が気になったか?まあ、この年まで何にも傷つかずにいたわけじゃない。花緒が最初の女だなんて言わないしそれなりに女と付き合ってきた。
一生側にいて欲しいと思った女もいた」

「うん……」

真面目に思い返すその言葉が、私の気持ちをぐっと落ち込ませていく。

そしてその気持ちが声に出ないようにしても、やっぱりそれは無理だった。

私の声に落ち込みを読み取った夏弥は、小さく笑って私の頭をくしゃくしゃとした。

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