週末の薬指
日曜日、ほぼ一日口論となったのは結婚式をどうするかという事。
拒もうとする私の気持ちを遮るように、結婚式を挙げたいと言う夏弥の気持ちを複雑な気持ちで受け入れた。
私には複雑な事情があるから、結婚式に招待する親戚は少ない。
その事を考えると結婚式には二の足をふんでしまう。
それでも、その私の気持ちをわかったうえでの
『披露宴は派手にしよう』
という夏弥の勢いと気持ちを拒む事はできなかった。
私を身内や友人たちに披露して、幸せを見せつけたいと、整いすぎている顔で言われると、かなりときめいた。
陥落。
この言葉がぴったりだ。
そして、仕事柄たくさんの人とのつながりを持つ夏弥に披露宴会場などは一任して、新居はひとまず夏弥が住んでいる部屋に私が越してくることに決まった。
いずれは夏弥の会社にお願いして家を建てるという未来まで話しながらも、あまりにも急展開を見せる幸せな状況が信じられずにいた。