秘密の素顔【密フェチ】
仕事ができる課長は、部下にも同等のものを求める。
しかし求めるだけではなく、自らも努力を惜しまないし、部下にはきちんとアドバイスもする。
だから皆からは恐れられつつも、尊敬されているようだ。
「次は絶対獲ります!」
「その言葉はもういい。聞き飽きた」
冷たく言い放つが、眼鏡の奥の瞳はどこか優しさを孕んでいる。
立っていた社員は、一礼して席へ戻った。その顔はいつの間にか、怯えたものから清々しいものへと変わっていた。
怒っておきながら、その人をやる気で満ち溢れた顔に変えることができるなんて……。
私が課長を尊敬の目で見つめていると――。
「おい、ちょっと来い」
「え……あ、はい!」
目が合った瞬間、呼ばれてしまった。そして、営業室から出るよう促される。
「うわぁ、何したの?」
営業室から出る時、皆は私が怒られると思い、心配そうに見てきた。
――でも、ホントは違う。