風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~

Act2.

「どうでしたか?」

俺が食べ終わるのを待ってましたとばかりに見つめる真剣な目。

「とても美味かった。」

俺は正直に感想を述べた。

嘘なんか言ってない。


「はあ・・・、今日も駄目か。」

目の前で落ち込む彼女。

だから、うまいって言ってるじゃないか。

なぜ彼女は信じないんだ?

日に日に彼女の料理は凝ったものへと変貌を遂げていた。

「だから、美味しいって言ってるじゃないか。
なぜそうなるんだ?」

若干困り果てて、俺は言う。

だけど彼女はその言葉にまっすぐ俺を睨む。

「安曇さんは心から言ってません。
その私をなだめる様な目、私はお世辞で美味しいって言って欲しい訳じゃないんです。」


・・・・・・。

本当に負けず嫌いだな。


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