風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~

Act2.

「くそ!!」

赤信号で車を急停止する。

腹が立つ、最悪な気分だ。

信号まで俺の敵かよ。

あのクソ爺、絞め殺してやる。


最近、俺は祖父の呼び出しを無視し続けてきた。

理由は勿論、碌な話じゃないからだ。

だが、今回の祖父は執拗だった。

何せ、会長として会食までセッティングしてきたのだから。

社のトップとしての命令なら、断れる筈もない。



「あんな内容の話で、俺を呼び出すんじゃねえよ。」

窮屈なネクタイを強引に緩める。

俺は絶対にあんたの思い通りになったりしない。



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