Dreamers-夢物語-

士の記憶


士side


「ただいま」


真夏の昼下がり、暑い中重い足取りやっと帰ってきた。
玄関に入るなり、ため息がでる。
靴を脱いで自分の部屋に入ると、あたしの部屋に弟の郁がいた。


「ちょっとなにしてんの」

「あ、お帰り。漫画読みたくてさ」


あっそと適当に相槌をうち、弟がいる中部屋着に着替えた。
郁がいなかったら、この部屋蒸し暑かっただろうに。
今は弟がいるからガンガンクーラーが効いている。
この家にはあたしと弟の郁しかいない。
両親はすでに亡くなっているからだ。
郁の面倒を見てるのはあたし。
しかし帰るのが遅い時が多いわたしに変わって、家事をしてくれたりするのは郁だ。
案外助かる。
郁は中学1年生。
部活等に入ってないし、宿題等は学校で済ませてくる。
この子の学校はすでに夏休み。
1日中家にいる暇人だ。

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