夢の外へ

「間違っても好きにはならないから」

日曜日の昼下がり。

私と千景は作業に追われていた。

「おーい!

これはどこに持ってけばいいー?」

玄関から千景の大きな声が聞こえる。

「そこに置いといてー!

後で私が持ってくからー!」

自室になった部屋で私は負けじと声を張りあげた。

今日は引っ越しである。

前住んでいた部屋を出て行くと、すぐに千景のマンションに引っ越した。

さすがはセレブである。

千景の住んでいる部屋を見て、私はそう言いたくなった。
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