夢の外へ

「考えていることがわからない」

きっと、遊びだったのかも知れない。

彼は私をからかったのかも知れない。

彼の気まぐれだったのかも知れない。

そう思い、そう言い聞かせる。

私たちの関係は契約。

私たちの関係は上辺。

それ以外、何にもない。

それ以外は、動いてはいけない。

私たちの関係なんだから。


千景と暮らし始めて、今日で1週間目。

躰がダルい…。

風邪でもひいたのかな…?

テレビのワイドショーは芸能人の熱愛だ破局だ、オススメの映画はこれだ、何とかダイエットが密かなブームだとか、そんな内容ばかりだ。

よく飽きないよね。

よくネタがつきないよね。

そう思いながら私はリモコンに手を伸ばすと、テレビを消した。

「ヒマだなあ」

大きなあくびを1つした後、ソファーから立ちあがると窓の方に向かった。

さすが、高層マンション。

眺めがすごくいい。
< 98 / 163 >

この作品をシェア

pagetop