キミが望むのなら

決断の時‐悠Side‐



「悠さん、この着物の裄直し[ゆきなおし]のことなんだけれど……」


「あっ、はい」


学校から帰ってきて、制服のまま明日の展示会の準備を行う。


「明日、皆さんに正式な跡取りとして紹介するんですから、きちんとしてくださいね」


「……わかってます」


明日の展示会は、俺の正式な跡取りとしての紹介も兼ねてある。


「美智花さん、この贈呈品用の準備はできてるかしら?」



「はい、それはですね……」


美智花さんと話し込むおばあ様。



今のうちに明日の展示品の最終チェックをするか。


裏の方に回り、ふと通学カバンに入れっぱなしだった携帯を開く。


あれ?


信二から連絡来てる……


まぁ、どうせあいつのことだからしょうもないことだろう。


と思いつつ、掛け直そうと画面をスライドしようとした瞬間……


――ブルブルッ


「うおっ!!」


マナーにしたままの携帯が震える。


え!?


桃香ちゃん!?






< 154 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop