プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ

(8)逢いたくて、抱きしめたくて

「驚きました。京都で逢えるなんて思ってなくて」
「スケジュールの変更、それから行き先もって言っておくべきだったかな?」

 潤哉さんにふわりと抱きしめられると、ドキドキしてたまらない。
 見上げると、あたたかな唇が触れ合って、電流が走ったように感じた。

「キスも一日お預けだったわけですよね」
「少しも離れていられないなんて、依存しすぎだな」

 お互いの顔を見て笑い合うと、私たちは手を繋いで、安産の御利益にあやかって……という話をしながら、参拝をすることにした。

「まだ出来てないですよって言ったんですけど」

「分からないんじゃない? 毎晩、そうしていたら、今、もしかしたら芽生えてるかもしれない。今夜も、そうするつもりだし」

 ちらっと悪戯な視線にドキッとする。

「……東京に戻るには、大阪からだと近いけど……結構かかりますよ?」
「一晩泊まるか、すぐに戻るか、それは君に任せるよ。今日の仕事は午前に終わらせたんだから」

 ズルイ。潤哉さんは知っていてわざと。
 女の私から言うのは、はしたないような気がして恥らうと、耳の側で彼はこっそりと告げた。

「前にもウィルがいたとき、言わなかった? 君から誘われるっていうのも、嬉しいものだよって」

 やさしい瞳の中、頬を朱に染めた私が映っている気がする。

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