天使の舞―前編―【完】

  俺様天使が現れた

ある朝の事。


その出会いは、突然訪れた。


広木乃莉子(ひろきのりこ)23歳は、勤め先である本屋

『ブック メルヘン』

に、急ぎ足で向かう途中であった。


遅刻なんて有り得ないという、考えの乃莉子。


この日は、僅かな油断から、家を出るのが遅れてしまった。


乃莉子のアパートから、歩いて30分ほどの距離にあるメルヘンは従業員三人の、こじんまりとした本屋だ。


私立高校の前を通り過ぎ、角を曲がる。


少し小洒落た街頭が並ぶ、静かな道。


二つ目の街頭の辺りに、シャボン玉のような透明な球体が、漂っている事に、気がついた。
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