天使の舞―前編―【完】

  王子の立場とは

不本意に、魔界へ連れて来られた乃莉子は、内心不安でドキドキしていた。


平穏に本屋の店員として日々過ごしていたはずなのに。


何が悲しくて、今こんな状況に身を置いているのだろうか。


目立たず真面目にをモットーに、暮らしてきた。


どこをどう間違えば、こうなるの?


私何か悪い事でもしたのかしら?


何も言わずに、乃莉子を見つめる彼方を、ひたすらに睨んで見せる。


そんな睨まれている相手は、豪華な椅子に悠然と座り余裕の表情で、冷たい視線を乃莉子に向けていた。
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