天使の舞―前編―【完】

  迎えに来たぞ

シラサギの話を聞いて、乃莉子は考えた。


もしそれが自分なら、堪えられるかな。好きな人が目の前で、違う人を妃にするなんて…。


乃莉子は目に見えない糸に縛られた二人が、不敏でならない。


シラサギは、下げていた頭をあげると、乃莉子を見つめた。


「アマネ様のお側に居られるなら、私はどんな立場であっても幸せなんです。」


シラサギの嘘の微笑みが…強がりの台詞が…乃莉子はとても、もどかしい。


さっき、アマネがシラサギに向けた優しい笑顔が、ふと頭をよぎる。


悠が乃莉子に向けてニッと笑う人懐こい表情が、アマネのそれと、何故か重なった。


あの悠の笑顔は、覇王とやらに成るために必要だったから、自分に向けられたのだろうか?


たぶん…違う。


アマネがシラサギに向けた笑顔と、同じ種類だったのだと、乃莉子は思う。


そして、窓の外に来ているという悠に、想いを寄せた。


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