天使の舞―前編―【完】

  愛するって難しい

コツ…コツ…と、足音の二重奏が螺旋階段に響く。


翼を持っているのだから、容易に飛翔し、移動できるだろうに。


しかし二人は、この二人きりで過ごせる貴重な時間が大切で、どちらとも先を急ぐ事を、望んでいないようだった。


飛べるとは、便利である。


だから、上に昇る手段に使われる階段スペースも、最小限で済む。


そもそも、実用性がないのだから。


そんな理由でここは、ほぼ無人の空間であった。


久々の足音を迎えて、螺旋階段も役目を果たせて嬉しく感じているであろうか。

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