天使の舞―前編―【完】

  勝手な誓いのキス

乃莉子が作ったオムライスを完食して、悠は満足した様子でお腹をさすった。


「美味かった。
ごちそうさん。」


悠は素直に、乃莉子へ感謝の言葉を表した。


俺様な上から発言ばかりの悠だったのに、何だか調子が狂う。


「どう致しまして。」


それでも誉められる事は嬉しくて、乃莉子はつい照れながらも、笑みを浮かべてしまった。


ハッと自分の表情に気がついて、顔を引き締める。


実は乃莉子、誰かに料理を振る舞ったのは初めてで、ましてやそれが男の人だなんて…。


奥手な乃莉子にとっては、自分でもびっくりな、大それた行動であった。


しかも相手は、会ったばかりの謎の美青年ときているではないか。

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