天使の舞―前編―【完】
「お前が乃莉子に触れようとするから、いけないんだろ。
俺の乃莉子に汚ない手で、触るんじゃねえよ!」


苛立った声でそう言って、宮田に視線を移したのは、悠であった。


宮田は悠の言葉に、口をパクパクとさせて、声を出せずにいる。


かなりの衝撃を受けて、やっと絞り出した宮田の声は、やや裏返ったものだった。


「俺のぉ?
俺の乃莉子って言ったぁ?
ねぇ…広木さん本当ぉ?
今の本当ぉ?」


あからさまな動揺を見せて、宮田は一歩、振り向いた乃莉子に近づく。


すると、今度は…。


「近づくな。
乃莉子が汚れる。」


そう言って、乃莉子の前に立ちはだかる、彼方がいた。
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