天使の舞―前編―【完】
彼方は不快な表情を浮かべて、悠が掴んでいる胸元の手に、自分の手を添える。


「こんな事をするから、下品だと言うんだ。」


「俺が下品なら、お前は何だ?
あぁ・・・卑怯者か!」


まるで、子供の喧嘩である。


悠は掴んでいる手に、さらに力を込めて、彼方に詰め寄る。


「ホントに何なんだよ?
お前が、こんな事するような奴だとは思わなかったぜ。
どうしちゃったんだよ?」


「・・・・・放せ。」


彼方は一変、悲しそうな表情を見せたが、不機嫌に一言、甘い重低音が流れた。


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