月夜の翡翠と貴方


ラサバとルトは、劇場の裏口へ向かう。

そして、扉の向こうへ消えて行った。

私は、ラサバに渡された裏口の合鍵をぎゅっと握りしめる。

……上手く、いきますように。






ラサバが劇団の人間を集め、話を始めてから二十分ほどが経った。

劇団員達は午後の公演で疲れきっているようだったが、ラサバの真剣な目を見て、大事な話であるとわかってくれたようだ。

しっかりと、話を聞いてくれている。

ソファに腰掛けた俺の横では、娘のために懸命に話をするラサバがいた。

俺は彼がうまく言えない部分を代わりに言うなどして、時折口を挟んでいるのだが。


…驚いた。

正直、ラサバならもっと、言葉を詰まらせてしまうかと思っていた。

しかし、隣の彼はしっかりと前を見据えて、堂々とした口調で話を進めている。

劇団の者たちも、普段と違うラサバの様子に驚いているようだった。



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