月夜の翡翠と貴方


覚えているのは、ひとつかふたつの記憶。

忘れて、引き裂いてしまいたい記憶。

リロザの言葉を、思い出す。


『貴女は、令嬢と言われても、なにひとつおかしくないな』


リロザに返事を返しながら、私は心の中で呟いた。

…令嬢、なんて。


……もう、昔の話ですよ、と。














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