クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜

二重人格の真相(1)

 用意されていた服に着替えて、約一ヶ月ぶりに化粧をする。
 首筋に付いた赤紫の跡も、念入りにファンデーションを厚塗りした。

 クラーク氏が用意してくれたという淡い空色のドレスは、胸元や袖口に上品なレースをあしらい、足首の辺りにチラリと見えるペチコートの裾にもレースが使われていた。

 貴婦人のようなヒラヒラとしたドレスを初めて着た結衣は、鏡に映る自分を見て、何だか気恥ずかしさを覚えた。


「うーん。もう少し胸があったら少しは様になるんだろうけどなぁ。胸が開いたドレスじゃなくてよかった」


 ぼやきながら、ドレスと同じ空色のパンプスを履いてリビングに戻ると、ロイドと王子が立ち話をしていた。王子はテラス経由でやって来たらしい。

 結衣に気付いて、二人が同時にこちらを向く。

 二人に注目されて、女装しているのが照れくさくなった。女なのに。


「ユイ。おかえり」

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