六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「……っ!」



天井の模様を確認する間もなく、あたしはがばりと飛び起きた。



「……はぁ……っ」



荒い呼吸で胸が上下する。



「な、何だったの……」



変な夢を見た。


変って言うか……恥ずかしい夢。


呼吸を整えた胸に、そっと触れてみる。


誰かが、この体に触ってた……。


妙にリアルな夢だった。


誰かが、あたしを抱きしめていた。


たくましい腕が、背中に回って。


長い指が、ゆるりと頬をなでた。



「きゃあー!!」



思い出すだけで、恥ずかしくなる。


あれは間違いなく、男の人だった。


顔は見えなかったけど。


あたしにのしかかっていた胸板には、膨らみは無かったもん。


な、何という夢を見てしまったんだろう。


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