遊びじゃない
これもアリかもね

清潔感ただようクリーム色の床にピンクのソファが並ぶ待合室には、控えめにクラッシック音楽が流れている。

それっぽくなくても鼻につく独特の匂いが病院だと感じさせるけれど、所々に座って雑誌をめくるOL風の女性をみていると、美容院といってもおかしくないかもと思ったりする。

受付の端に置かれたコーヒーサーバーが意図的にそういう雰囲気を作っているのかもしれない。

みんながリラックスして呼ばれるのを待っている間…不似合いなくらい緊張してぶつぶつ呟いている隣の男。

「ほんと、もういいよ。どこか外のカフェとかで待っててくれたら連絡するし」

「いや、大丈夫」

「でも、一緒に診察うけるわけじゃないんだし」

「それでも…大丈夫だから。ちょっと緊張しちゃってるだけだよ」

「…あっ、そう」

呆れる私のため息にも全く気が付かない男をほっておいて、「柏木様」と控えめに呼ばれたほうへ行くと、にこやかな看護師さんにコップを渡される。
< 227 / 266 >

この作品をシェア

pagetop