遊びじゃない
それはナイんじゃないですか?

3月に突入すると異動のためか、年度末のためか、何となくざわついて落ち着きのない社内。

麻生さんからは連絡がなくて、もう異動しちゃったのかと思うくらい社内でもすれ違うこともなく。
何度か携帯の画面に麻生さんの名前を表示させては発信ボタンを押せずにいる私とは、もうこれっきりの線が濃厚で。

入院中の美織に電話するわけにもいかず、家に帰って鳴らない着信を待ってしまいそうな時間を紛らわせたくて、ゆうを誘って飲みに行くことが多くなった。

ヘラヘラと笑う草食系は、誘えば断らず付き合ってくれて、何も聞かずに他愛もない話にうんうんと相槌を打ってくれて、何だかんだと家の前まで送り届けてくれる。
送り狼になることもなく、エロい話がもちあがることもない。

…こんなに安全で都合のいい男がいていいもんだろうか。

自分の都合で振り回しているようで(実際そうだけれども)、罪悪感から私が奢ることが多くなって、それを気にする草食系が律儀に私の世話を焼き、結局は気楽な時間が過ごせていて。

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