届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
Memory.

1 ハジマリ


ぼんやりと見下ろした窓の下。

大きな木の陰から、黒い服の人がたくさん出入りしてる。

「もうすぐ、小学校の入学式だったのにね。」

親戚のおばちゃんが、泣きながらお父さんに挨拶してる。

…今日は葬式。

誰のって?

あたしの。

あたしは、ここにいるのに。

決して、幽霊とかそんなんじゃない。

あたしは、蒔宮紗羽(まきみやさわ)として。

ここに実在してるのに。

あたしの葬式なんだって。

だって、3ヶ月も前に聞いちゃったんだもん。

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