あのこになりたい
架け橋
シュンは、


「突然お邪魔してすみませんでした」


と頭を下げて帰って行った。



「あ、待って…シュン!」

私はシュンを追って階段を降りた。



いつもの公園まで歩きながら、私は何度も、

「ありがとう」

と言った。



「若菜さんて…」


私が言いかけると、


「岡田の彼女。俺の初恋の人…の次に好きになった人」


シュンが笑った。



「え…?」


私は目を真ん丸くした。



「岡田も若菜も知らないけどね。でも…二人が付き合い出した時は傷付いたね〜」


「今は…?」


私はシュンの目を見て聞いた。



「今はいい友達だ。むしろ…二人を応援してる」


シュンは私の目をまっすぐ見て言った。



「若菜や俺は、岡田と外の世界との架け橋になれても家族の架け橋にはなれない。咲にしかできないんだよ」


シュンは私にそう言った。

だけど…私は架け橋どころか家族と向き合ってもない。


私だって誰かに架け橋になってもらいたいよ…。



< 52 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop