君と恋に堕ちた事について
「そろそろ帰るよ。」


オレの胸から麻実が頭を上げた。


フワッとシャンプーの香りがした。オレは、その香りを吸い込んだ。


麻実は、飛び起きるとTシャツを着た。


オレも、ノロノロと起きYシャツに腕を通した。

麻実は、ネクタイを器用に結んだ。始めの頃は、なかなか結ぶ事が出来なかったのに、今はすんなりと流れるように結ぶ。オレは、この時間がいとおしくもあり、別れの儀式みたいでもあった。


「ありがとう。」


麻実は、少し寂しそうに微笑んだ。
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