なんでも屋 神…最終幕
つまり[湊開発]は、どちらにも動く事が出来なくなった。



チンケなプライドの為に、形だけ守っている事務所を手放す事はしないだろう。



「そうだろうな。」



頭の中では、きっと俺と同じ事を考えていたであろうヒロが、タバコの煙を吐きながら短く呟いた。



偽りの光りで満ちたメインへ向かって歩き出すと、空には雲を纏った下弦の月が、暗闇の中で自分の存在を主張している。



雲間の隙間から覗く月の主張を、鈴をモチーフにした、彫りの深いガボールのネックレスが、ヒロの胸元で跳ね返した。



ヒロと並んで歩くなんて、何時ぶりになるだろうか…。



なんだか、随分久し振りな気がするな。
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