わたしは部屋を出て、ふらふらと階段を下りた。


家の中には誰もいない。


お父さんはまだ会社で仕事中。


お母さんはスーパーに買い物に行ってから、まだ帰ってきていない。




わたしの足は一階の台所に向かった。


台所に備え付けられた戸棚を開けると、包丁が数本並んでいる。


わたしの手はそこから一本の包丁を引き抜いた。



「お父さん、お母さん、さようなら。今までいっぱい心配と迷惑をかけちゃったね。おじいちゃん、おばあちゃん、さようなら。いつも優しくしてくれてありがとう。

 かっちゃん、さようなら・・・。かっちゃんのこと、大好きだったけど、もう信じられなくなって、ごめんなさい・・・。」


 わたしは胸に包丁を突きつけた。


「美幸、これからあなたのところに行くよ。」


そう唱えたとき、


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