こんなに好きなのに



そうだ……
俺、学生で受験生だった…

この間ギリギリの成績で進級したんだった。



学校でも言って、気を紛らそう。






「ヒロおはよー!」

「あっ!ヒロじゃん!!やっと学校来た、止めたかと思ったし……」

「せっかく進級したんだから、しっかりしろよ!!」


「……なんかあったか?」




教室に入ると色んな言葉の渦に飲み込まれたけど


『……なんかあったか?』

その言葉が浮き輪代わりになって沈んだ気持ちが少しだけ浮かばれた。



「……なんかあった…」


「はは、やっぱりな祐実のことか?話、聞くぜ。」



俺の気持ちを気持ち悪いくらいに言い当てるのは
祐実と同じく幼馴染みの敦士だった。



「……頼む、聞いてくれ。」



俺たちは人がいない屋上で祐実に男が出来たこと
そんな祐実を突き放したこと

まだ好きで忘れたくないこと


全部、全部話した。



「……女々しいな俺、てか女子みたいだし……」


「恋バナ?…好きだよ俺、はは…」


「キモいって……」



敦士はまた、ははっと笑って話は終わった。


俺たちは励ましたりしない、アドバイスももらわない。


ただ話してそれを聞くだけ。
それだけで俺は十分だし、それ以上は要らない。



口出しされてもムカつくだけだし。




気を紛らすつもりが返って頭の中を祐実でいっぱいにするだけだった……



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