「エレナ姫様、そんな険しい顔をしていたら王太子殿下が困ってしまいます。どんな時でも笑顔を忘れてはいけません」

「そ、そんな事言われても……」

「落ち着いて下さい、それに固くなり過ぎても駄目です」

「無理よ!」

これからアレス王太子との初夜だというのに、落ち着いられる訳がない。

「無理でもやらなくては。カーナ公爵家の姫君がそんなにおどおどとしていてどうするのですか?」

乳母は強い口調で言いながら、エレナの夜着の乱れを整える。

(何て言われても無理。だってアレス様が相手なんだもの)

艶やかな黒髪。
青みを帯びた瞳。
長身で均整のとれた身体。

数刻前の婚礼の儀で顔を合わせたアレスは凛々しくまともに目を合わせられない程魅力的だった。

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