広大なカーナ家の屋敷。

都には多くの貴族の屋敷が有るけれど、その中でもその敷地の広さは別格だった。

エレナの部屋は屋敷の奥深い棟の二階に有る。アレスに嫁いだ今でも部屋の様子は変わっていなかった。

「何もかも前のまま。まるでエレナ様が離縁されて戻るのを知っているみたいですね」

フィーアが怪訝な顔をして言う。

「まさか。結婚を決めたのはお父様なのよ。離縁されるなんて知ったら大騒ぎだわ」

アレスの言う通りなら父は権力が欲しい為にエレナを王太子妃にしたのだから、戻る事など望んでいる訳が無い。

「そうですけど……それでどうしますか? 神官長は夕刻には戻るそうですから、急ぎませんと」

「そうね……」

けれど調べると言っても何から手を付ければいいのだろう。
この広い屋敷の中、限られた時間でどうすればいいのか。

勢いで出て来たと言うのも有り、細かな計画が無い。

「とりあえず……書庫に行ってみるわ」

「分かりました。では急ぎましょう」

久しぶりの実家の書庫に、エレナはフィーアと共に向かった。

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