アレスとエレナの婚礼の式から一月が経った。

初夜での宣言通り、アレスがエレナの部屋を訪れる事は一度も無かった。

夫と妻なのに顔を合わせるのは公の場のみ。
エレナの孤独は日々深まるばかりだった。


鬱々とした気持ちで過ごすエレナに、実家から着いて来た侍女のフィーアが呆れた様に言った。

「エレナ様、部屋に閉じこもってばかりなのは良くないです。このままじゃ皆に存在を忘れられてしまいますよ」

「……」

「お茶会を開いて貴族の夫人や令嬢と交流しないと駄目です。最近では引きこもりの王太子妃なんて失礼な噂も耳にします」

フィーアは乳母の娘で幼い頃から共に育った乳兄弟に当たる為、エレナには遠慮なくものを言う。

「お茶会なんて、とてもそんな気になれない」

新婚早々夫に拒絶されたこの状況で、楽しくお茶を飲む気になんてなれない。

希望も自信も、初めての恋と共に心粉々に砕けてしまったのだから。

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