あおぞらカルテ
case13 7歳男児 フォンタン術後
久しぶりに風邪をひいた。


「ぶぇっくしょい!!」


豪快にくしゃみをすると、周りにいた看護師たちはクスクス笑った。


「せんせーい、あそぼー」


ナースステーションのカウンターの外から、子供たちがひょっこり現れる。

1、2、3、4…今日は6人。


「今日はだめだ…先生に近づかないでくれ。風邪がウツるから…」

「なんだよつまんねーのー」


オレよりか、入院中の子供たちのほうが元気そうに見える。

大きな病気もしたことないし、めったに風邪もひかないせいか、こういう時に弱り切ってしまうんだ。

子供たちを追いやった後、カウンターの中で調べ物をしていたら、飯塚先生がやってきた。


「おあようございまず…」

「なに、風邪か?」

「そうみたいでず…」

「熱はあるの?」

「怖くて測ってまぜん…」


ああ、またくしゃみが…

ティッシュの箱をたぐりよせたその時、いきなり頭を押さえつけられて、椅子から転げ落ちそうになった。


「のわぁっ!?!?」


ピピっと耳で音がする。


「37度8分」


飯塚先生が子供用の耳温計でオレの体温を測ったのだった。

それにしても乱暴すぎるだろ!


「先生…びっくりするじゃないですか!?子供には優しいくせに!」
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