あおぞらカルテ
case15 26歳男性  急性胃炎
「じゃ、胃カメラで見てみましょうか」


言うのは簡単だ。

やるのは…慣れれば簡単だ。


「いやぁ~でも先生、あれはどうも苦手でねぇ…ははは…」


患者さんがそう言ったときには、村瀬先生はもう既に問診票を突きつけていて、


「胃カメラに得意も苦手もありませんよ。これで癌が見つかったらラッキーくらいに思って受けてもらわないと」


叱られた子供みたいにシュンとなって、仕方なく同意のサインを書く患者さん。

なんだかかわいそうになってオレは言う。


「大丈夫ですよ。ちゃんと局所麻酔をしますし、ちょっとした鎮静剤も使えますから」


そうそう。

言うのは簡単なんだ。
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