プラチナ・ラブ

人を好きになっちゃいけなかった。

絶対にその恋は叶わないから。

あたしには……許嫁がいるから。


……なのに。


大翔と出会って……あたしは自分の気持ちを抑えることができなくなった。


好きになっちゃいけないって……分かってたのに。


「………………」


……大翔は黙ったままあたしを抱きしめた。

あたしよりも大きな体で……すっぽり包み込むように。


「やっ…………」


ダメ……。

あたしが突き放そうとしても……大翔はあたしを離さなかった。


「……バカ」

「え………?」

「んなこと言われたら………もう離せねぇじゃん」


すぐ耳元で聞こえる……大翔の声。


「っ……大翔!」


ギュッと大翔の背中に腕を回す……。


本当は……離れたくなかった。


ずっと求めてた……温もりだった。


「……俺も好きだよ」


大翔のその言葉で……またあたしは涙を流した。
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