オトナの秘密基地

コドモのままではいられない



「あ~っ! 楽しいお酒だったけど、そろそろ帰らないと。旦那と娘が待ってるからね~」


桜のこの言葉で「干物女子の今後を暖かく見守る会」がお開きとなった。

桜も園子も、もちろん麗華も、中田さんにあることないこと吹き込んでくれた。

……いや、本当の事が8割なんだけどさ。

確かに、ここ10年もの間、私に彼氏はいなかったよ!

この歳まで親密交際だった男はいないけど、それを言うとどんな人も引くでしょう!!

だって、中田さんもかなり微妙な顔でその話を聞いていたし。

我ながらイタいと思ってるけど、それを友人の口から伝えられてしまって、その後私はどうすればいいのでしょうか。

運転するため素面(しらふ)の中田さんは、次々に暴露される私のイタい過去を聞いてどう感じたのやら。


☆☆☆☆☆


Navyを出て、そのまま中田さんの車に乗せられる。

私の車はあのマンションに停めたままだったし、当然なのだろうけれど。

ランクルは高さがあるので、ただでさえ酔っ払っている私はどうやら危なっかしく見えたのだろう。

ドアを開けてちゃんと乗り込むまで見ていてくれた。

そういえば、昔の『会長』もそうだった。

過保護だと言われるほど、休み時間の度に下級生の面倒を見てくれた覚えがある。

残念ながら私にだけ特別、ではなかったと思う。

< 254 / 294 >

この作品をシェア

pagetop