「女の子であってはいけないから、あの子はああなの。

人前では絶対に泣かないしね。

こないだ薫さんの前で泣いたでしょう、あれは奇跡よ、ホント」

「そうなんだ」


「男の人は普通人前で泣かないもんでしょう。だから泣かないの。

かわいいとかキレイとかって言われるとひどく動揺して必死で否定して、カッコイイって言われると喜んで、ね。

性的なことを汚らわしいってひどく嫌ってるし。

ちょっといいなって思う人がいても恋愛にすら踏み込めないわけ」


「なるほどね。

自分が女だと自覚せざるを得ないことを避けてるわけだな」


あれ。これは……


――薫さんの声?


「そうそう! そうなのよ。

ひとことで言えばそういうことなの。

薫さんってば、かしこい!」


パチン、と手を合わせる音がした。

どこかで聞いたことのある、女の子らしくかわいらしい、はずむような楽しげな声。

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