ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

===================

===================


「デッサンは一からやったほうがいいな。

形を正確に取れるところからね。

まだちょっとその部分が怪しいから。

完成度を上げるのはそのあとだ。

ただ、描写力はもともと高いから、形さえ正確に取れるようになればかなりいい作品が描けると思うよ」


黒川さんは、あたしの鉛筆を持つ手を上から握った。

細くて長い、きれいな指があたしの指にかかる。


(わ……)


手を重ねたまま、さっと線を描く。


「ここの角度がおかしいね。わかる?」

「あー。はい。そうですね」

「角度を取るには、こうやって――」


1回2時間の個人レッスン。

受験の実技必須のデッサンをみっちりやることになってる。

< 57 / 278 >

この作品をシェア

pagetop